『ランチのアッコちゃん』柚木麻子

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4編の連作短編集で前半と後半で語り手が変わる。

前半の語り手は三智子で、表題作「ランチのアッコちゃん」では上司のアッコ女史(黒
川部長)の提案でランチを1週間交換する。三智子の手作り弁当とアッコ女史のランチコースを交換するのだが、失恋して落ち込んでいた三智子はアッコ女史指定の外食の店を廻る内に少しずつ元気を取り戻す。食事が美味しそうで食欲を刺激される。

「夜食のアッコちゃん」は会社が倒産して、アッコ女史が移動販売車でポトフを売る。
三智子も仕事をしながらアッコ女史を手伝う話で、ホストの客が注文する大根おろし入りポトフが、本当に飲みすぎに効くのか気になった。

「夜の大捜査先生」では渋谷の夜が生き生きと魅力的に描かれていた。作者は詳しいのかな。
「ゆとりのビアガーデン」、オフィスの屋上にこうしたビアガーデンがあると夏は楽しいだろう。

 

軽く読める短編集だが、リズムのよい会話や微妙に変化する心理の描写は、相変わらずうまいと思った。読後感がさわやかでいい。

フォロワーの方からのお勧めの本で、あともう1冊この作者のを読みたい。