『楽園のカンヴァス』原田マハ
積読にあった本だ。
ニューヨーク近代美術館(MoMA)の学芸員でアンリ・ルソーの研究家ティム・ブラウンがスイスの邸宅に招かれる。そこでMoMAが所有するアンリ・ルソーの『夢』に酷似した絵を見せられる。絵の持ち主の富豪から、7日間で作品の真贋を判定したら絵を譲ると言われて、ヒントとなる古書を渡される。
もう一人の招待者は同じアンリ・ルソーの研究家の早川織絵で、2人で競い合うという物語。
美術ミステリーで、最後まで飽きさせない。面白かった。ルソーは素朴派、遠近法を知らない画家というイメージ位しか無かったのだが、彼の様々なエピソードやピカソとの友情が興味深かった。アポリネール、マリー・ローランサンが登場して語られる逸話もよかった。
作者はMoMAに勤務したことがあるそうで、その経験を生かして書いたのだろう。
ミステリー作家ではないけど、最後の謎解きは意外性があり感心した。