2019-03-01から1ヶ月間の記事一覧

『格闘する者に〇(まる)』三浦しをん

作者のデビュー作。いきなり童話から始まる。どこかの国の王女がお見合いのために象を選ぶ。象はそれを飼う男性を象徴していて、という話。よく分からないけど、読んでいく内にそういうことなのかな、と思う。 出版社志望の大学生藤崎可南子が就活に苦労する…

『私を離さないで』カズオ・イシグロ

舞台は1990年代末のイギリス。SF的な設定だ。31歳のキャシーという女性が、自分の育ったヘーシャムという全寮制の施設を思い出す。そこでの回想を読んでいくと、自分の知っている学校生活とだいぶ違うことに気づく。 行事や先生の言動が奇妙だ。外部と隔離…

『憤死』綿矢りさ

不思議な、そして不気味な4作品の入った短編集。印象に残ったのは『おとな』と表題作の『憤死』だ。 『おとな』は幼い頃の夢から始まるすごく短い作品だが、半分くらい過ぎたあたりで雰囲気が変わる。最後はよく分からないところがあるが怖い。急に展開が変…

『風が強く吹いている』三浦しをん

『舟を編む』に続いて三浦しをんの作品を読んでみた。フォロワーの方から聞いた本だ。この作品もある物事に真剣に取り組む人たちを描いている。作者のテーマのひとつなのだろう。 下宿(竹青荘)に住む清瀬灰二(ハイジ)が同じく陸上経験者の蔵原走(カケル…