2019-04-01から1ヶ月間の記事一覧

『蜜蜂と遠雷』 恩田陸

舞台は日本で開催される国際ピアノコンクール。若手ピアニストの登竜門になっている。 4人の出場者を主役にした物語、群像劇だ。天才の3人-16、19、20歳-と28歳で、こうした天才の話はリアリティを欠きがちだが、設定がうまくてそれを感じさせない。 数多く…

『ヴァン・ショーをあなたに』近藤史恵

『タルト・タタンの夢』の続編。前から気になっていたのだが、最近フォロワーの方が載せていて読みたくなり購入した。創元推理文庫は珍しいけど謎解きだからかな。そういえば『ねじまき片想い』もこの文庫だったのを思い出した。 下町のフレンチレストランを…

『楽園のカンヴァス』原田マハ

積読にあった本だ。 ニューヨーク近代美術館(MoMA)の学芸員でアンリ・ルソーの研究家ティム・ブラウンがスイスの邸宅に招かれる。そこでMoMAが所有するアンリ・ルソーの『夢』に酷似した絵を見せられる。絵の持ち主の富豪から、7日間で作品の真贋を判定し…

『私にふさわしいホテル』柚木麻子

『ランチのアッコちゃん』の続編にしようか迷ったが、積読にありフォロワーの方のお勧めのこちらにした。 新人作家(本名中島加代子)が、色々な手段で成り上がっていく奮闘をコミカルに描く連作短編集。 全部で6話あるのだが、毎回大物作家(東十条宗典)と…

『騎士団長殺し』村上春樹

突然妻に別れを切り出された主人公の肖像画家の「私」は、友人の父(日本画家)の自宅兼アトリエに住む。そこで次々に起こる不思議な出来事に巻き込まれていく。 物語のフレームは、私と妻(ユズ)が夫婦の危機を乗り越えて、ということだが、本作品は私が過…

『ランチのアッコちゃん』柚木麻子

4編の連作短編集で前半と後半で語り手が変わる。 前半の語り手は三智子で、表題作「ランチのアッコちゃん」では上司のアッコ女史(黒川部長)の提案でランチを1週間交換する。三智子の手作り弁当とアッコ女史のランチコースを交換するのだが、失恋して落ち込…