『私にふさわしいホテル』柚木麻子

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『ランチのアッコちゃん』の続編にしようか迷ったが、積読にありフォロワーの方のお勧めのこちらにした。

新人作家(本名中島加代子)が、色々な手段で成り上がっていく奮闘をコミカルに描く連作短編集。

 

全部で6話あるのだが、毎回大物作家(東十条宗典)と都内有名ホテル(帝国ホテルやパークハイアット)が登場する。この大物作家は加代子の宿敵で有名文学賞の選考委員という設定だが、描写を読むと実名が何となく想像できる。

また桜庭一樹を意識したようなペンネーム(性別があいまいな名前)や朝井リョウ(彼は柚木麻子と仲がいいらしい)、実在作家(をモデルにしたと思われる人物)が登場するなど、文壇がこんなに出てくる小説は読んだことがなかった。

柚木麻子の経歴をみると、オール読物新人賞を受賞してデビュー、直木賞は獲っていない。自分の経験がどこまで入っているのか分からないが、コメディタッチの痛快な話で楽しめた。

 

そして、この作者の次は何にしようか考えているところ。『ランチのアッコちゃん』の続編も面白そうだし、積読に『早稲女、女、男』がある。