『舟を編む』三浦しをん
国語辞典の編集部を舞台に、辞書編纂にまつわる様々な人間模様を描く作品。本屋大賞を受賞したのは記憶にあったが、当時はこの作者をよく知らなかったこともあって、今回初めて読んだ。
まず、雑誌『CLASSY』に連載されていたのには少し驚いた。このファッション誌はよく知らないのだが、働いている女性が出てくるといえば出てくるけど、読者の殆どは辞書を作る世界とは無縁に思えたので。
主人公の馬締(まじめ)と彼を取り巻く個性的な面々-ベテラン編集者、老学者、同僚たち、下宿の大家の孫娘(ヒロイン)-の描写が時にユーモラスで面白い。
同僚の中のチャラ男(西岡)は重要な役回りで、辞書作りに没頭する馬締たちとは少し距離を置いていて、いわば世間一般の人を代表している。彼も色々な葛藤を抱えながら馬締たちを支えていて、この辺りの描写は読み応えがある。
最近は電子辞書を使うことが多くなって、紙の辞書に触れる機会は減っていたのだが、
辞書に対する見方が変わって持っている辞書が愛おしくなる。
また映画は観ていないのだが、松田龍平(馬締)、宮崎あおい(ヒロイン)、あと黒木華も出ていて面白そうだ。今度観ようと思う。