『風が強く吹いている』三浦しをん

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舟を編む』に続いて三浦しをんの作品を読んでみた。フォロワーの方から聞いた本だ。この作品もある物事に真剣に取り組む人たちを描いている。作者のテーマのひとつなのだろう。

下宿(竹青荘)に住む清瀬灰二(ハイジ)が同じく陸上経験者の蔵原走(カケル)を竹青荘に引っ張り込み、陸上部ではない他の住人8人と共に箱根駅伝を目指すという青春小説。

たった10人で1年後の箱根出場に挑戦するという、ありえない設定なのだが、作者の筆力でいつの間にか引き込まれていく。とても面白かった。

 

初期の作品だが、デビューの頃からの構想・執筆で6年かかったとのこと。作者は取材を重ねて書いていて、読者が共感できる魅力ある物語を楽しめた。
他の作品に見られる、行間から感じるユーモアとか登場人物に対する温かい視線が感じられて、デビュー直後から既にこうしたところは出ていたんだなと思った。

この作者の次は何にしようか考えているところ。直木賞を受賞した『まほろ駅前多田便利軒』かな。