『蜜蜂と遠雷』 恩田陸

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舞台は日本で開催される国際ピアノコンクール。若手ピアニストの登竜門になっている。

4人の出場者を主役にした物語、群像劇だ。天才の3人-16、19、20歳-と28歳で、こうした天才の話はリアリティを欠きがちだが、設定がうまくてそれを感じさせない。

 

数多くの楽曲、4人全ての曲を言葉で表現する筆力がスゴイ。審査者、家族や友人、恩師、取材者など複数の視点が彼らの人生を浮かび上がらせる。

印象に残ったのが、栄伝亜夜と風間塵が2人でピアノを弾きながら遥かな高みに昇るシーンで、描写が美しかった。

事件らしいことは起こらない、ピアノコンクールだけを書いた作品がこんなに面白いのはちょっと意外だった。

そして読みながら思ったのは、何に人の心は感動するのか、小説家では誰が天才か、ということで、二つ目についてはまたどこかで書いてみたい。