『何者』朝井リョウ

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同じ大学に通う5人の就活の物語。
大学の劇団サークルだった拓人と、彼の同居人でバンドを引退した光太郎、光太郎の元恋人の瑞月、瑞月の留学仲間の理香と同棲中の隆良が就活のために集まる。自分が何者なのかを就活を通じて模索する姿を描いている。

高得点のTOEIC、海外留学など自己PRを頑張る瑞月と理香は、よくある感じが上手く出ていた。

また本心を仲間と会うには明かさず、ツイッター等で互いの胸の内を探りあうのがリアルだ。


自意識の衝突や劣等感に悩んだりしながら就活を進めていくのだが、家族、企業の人事担当者などが登場せず、仲間内だけの世界は読んでいて少し息苦しくなる。

 

最後の意表を突く展開はうまくて、作者の才能を感じた。直木賞を受賞したのも分かる気がしたな。