『私の家では何も起こらない』恩田陸
恩田陸が面白いのでもう1作読んでみた。この本もフォロワーの方のお勧めから。
丘の上の幽霊屋敷を舞台にした連作ゴーストストーリー。時代ごとに住人が変わる古い屋敷で、英国だとヴィクトリア朝の屋敷という雰囲気がする。そして生々しく恐怖心をかきたてられるホラーな感じはしない。「ウサギの穴」、「アップルパイ」などが出てくるのもあるのかな。
一人称で語られるクロニクル(年代記)で、余白がたくさんあるので、書かれていない部分を想像したりして楽しめる。面白かった。
印象に残ったのは「俺と彼らと彼女たち」で、大工の親子が家を修繕するのだが、ほのぼのとしてホラーな感じはなく、ユーモラスだった。
最後の「私の家へようこそ」でのデジャ・ビュと幽霊の違い、そして世界はみな幽霊になっていく、という終わり方が良かった。
これまで読んだのは音楽、演劇がテーマだったが、作者は幽霊小説も上手い。
こうしたジャンルにも詳しいのではないかと思った。