『ナイルパーチの女子会』柚木麻子

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積読にあった本で久しぶりに柚木麻子を読んでみた。大手商社勤務の栄利子と人気主婦ブロガーの翔子、女友達がいない二人は急速に親しくなるが、ある出来事をきっかけに不協和音が生じて、という物語。

 

前半の山場が、関係が悪くなった二人が夜のファミレスで会うところ。激しいやりとりが繰り広げられる。
ここから二人は、特に栄利子は感情の起伏が大きいこともあり、つらい方向へ進んでいく。

 

淡水魚だが違う生態系に入れられると凶暴化するナイルパーチという魚を、二人になぞらえている。なかなか展開が読めなくて、自分の中にもある栄利子や翔子に似たところを刺激する描写は、フォロワーの方が言ってたように心が抉られる感じがする。

そして、ラストは予想外で良かった。別の終わり方を考えていたのだが、晴れ間が見えたような気がした。

 

全体的に初期の作品と比べると文章がうまくなっていると思った。山本周五郎賞、高校生直木賞を受賞してる。(後者の賞は知らなかった。高校生がこの作品を、と思ったけど。)作者の代表作の一つだと思う。