『マチネの終わりに』 平野啓一郎
読みかけて積読にしてあった本。映画化されると知って引っ張り出した。
主人公の蒔野は天才クラシック・ギタリスト。ヒロインの洋子は海外の通信社に勤務する国際ジャーナリスト。洋子は美貌で有能、内戦でテロが頻発するイラクの特派員を志願するほどだ。
40歳くらいの二人は初対面でいきなり恋に落ちる。やがて恋敵によって溝が生じ、一緒にはなれないけど最後は、という悲恋物の古典的なストーリー展開だ。
舞台は東京、パリ、ニューヨークなど。明晰な文章で綴られていて、長編だけど引き込まれて読んだ。
そして、こうした知的な女性は、時としてリアリティを欠くけどそんなことは無い。描写は見事なものだ。
ただ渡辺淳一文学賞を受賞していて、この作家の賞で恋愛小説なら割と濃厚な描写があるかと思ってたら、それは無かったな。