『伊藤くんA to E』 柚木麻子

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『幹事のアッコちゃん』に続いて柚木麻子を読んでみた。

5編の連作短編集の恋愛小説。2018年に映画になっているのだが、これは観ていない。

 

テンポよく話が進んで楽しめるけど、伊藤君はリアルさを欠いていて、ちょっとよく分からない彼は謎めいている。何と言うかとてもイタい男だ。そしてその伊藤君に振り回されている周りの女性もイタくて、不思議な感じを受ける。

 

女性たちは、最後は伊藤君を反面教師にして立ち直っていく。それはそうでしょう、と思うのだが、まあ色々見えなくなることもあるのかな。最終章の崩壊した雰囲気は面白かった。

全体的に、嫉妬心などの鋭い心理描写はこの作者ならではで、柚木麻子ワールドを楽しめる作品だ。

次は『上流階級 富久丸百貨店外商部 其の二』を読みたい。

(追記)

ネタバレにならないように書いたら、すごく曖昧な文章になってしまった。でも楽しめるのでお勧めです。