『盲目的な恋と友情』辻村深月

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この作者の作品を『鍵のない夢を見る』に続いて読んでみた。フォロワーの方に教えてもらった本だ。

 

「恋」と「友情」の2部構成で、大学の管弦楽団が舞台になっている。冒頭の結婚式の場面から、不穏な空気が漂う。

「恋」では、蘭花とプロの指揮者茂美の恋愛が描かれる。茂美の恩師の夫人の登場から雰囲気が変わる。

また「友情」では、「恋」の物語が留利絵の視点から語られる。

 

そして、「恋」の最後に起きた事件の真相が明らかになるのだが、これが衝撃的な結末だった。愛憎の絡み合い、心理の葛藤の描写が見事だ。

『鍵のない夢を見る』と同じようなミステリ仕立てで、こうした2部構成は初めて読んだが、うまくまとまっていた。また、個人的には美波をもう少し前面に出してもよかったと思うが、まあこれは作者が脇役に決めたのだから、言っても仕方がないけど。

読み始めるとページを閉じることができないほど引き込まれる。面白かった。