『生のみ生のままで』綿矢りさ

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綿矢りさの久しぶりの新刊。
逢衣と彩夏は、25歳の夏に出会い恋に落ちる。二人とも恋人がいて、特に逢衣は結婚が近い感じだったのだが。幸せな日々が始まるけど、ある事件をきっかけに状況は一変して、という物語。

 

女性同士の濃密な恋愛物語だが、作者は『ひらいて』で2人の女子高生と男子高生の三角関係でも書いていた。それをもっと広げて本格的にした感じ。出だしから引き込まれて、読み応えがあった。

お互いにからだで愛情を確かめるシーンが出てくるが、身体の細かい部分を詳しく書いていて、男女のセックス描写とは違う女性同士のリアルな感じがした。

また、彩夏は芸能界で生きているが、『夢を与える』『ウォーク・イン・クローゼット』にも芸能界が出てくる。作者は興味があるのだろうが、どういう部分に魅かれるのか知りたい気がする。

 女性同士の恋愛を鮮烈に描いていて、作者の新境地を味わえる長編だ。ラストはちょっと感動した。

 

(追記)
TLには、この本のサイン本を紹介している書店がいくつか載っている。残念ながらこの本を買った書店には無かったな(よく行く所だけどそんなに大きくない)。